自身のキャリアに必要な専門性を独学しながら継続的に磨かれている社会人は多いですよね。
私も大学を卒業後、ITや経営学など自身のキャリアに直結する知識、スキルを独学で身につけてきました。
そんな中、今回、山口 周氏の『知的戦闘力を高める 独学の技法』を読んで、「独学」の定義から考えさせられました。
結論、著者が定義する独学は、私が考えるものとは異なり、ジャンルが非常に多岐にわたっており驚きました。
著者は「自身のキャリアやビジネスに直接的に有用性がない教養も学んでいくことが大切」と主張しています。
なぜこのようなリベラルアーツを独学すべきなのか、何をどのように学ぶべきなのか、ビジネススキルの向上を目的として自己研鑽に励まれている方にとって、非常に示唆に富む有益な内容となっています。
なぜ独学が必要か?
そもそも、なぜ独学が必要なのか?
著者の考え方をまとめると、「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」でも主張されているように、人間は長寿化によって、仕事人生・現役期間が伸びていきます。
一方、企業や事業の旬の期間は、テクノロジーの激しい進化、イノベーションの活発化により短縮化しています。
- ビジネスパーソンの多くは、仕事人生の中で、ビジネスドメインの変化を複数回体験する
- この変化の波をうまく乗り換えていくためには、これまで身に着けた専門性だけを頼りにするのではなく、様々な領域にわたる広範な知識を独学によって身に着けていくことが重要である
- 一昔前はガラケー全盛期だったが、スマホ登場で日本企業は撤退(4兆円もの市場が消滅)
- ビジネスの大きな変化、イノベーションが、様々な専門領域の掛け合わせで生まれている
- 昨今はテスラ社の電気自動車などが台頭、日本の自動車産業にとって脅威となっている
- イノベーションが加速化し、企業や事業の旬の期間は短縮化していく
- 学んだ知識はすぐに陳腐化し、従来の常識は通用しなくなる
何を、どのように学ぶべきか?
独学で広範な知識を身に着けていくことが重要とはいえ、何をどのように学んでいくべきでしょうか。
本書の肝なのでネタバレは避けますが、個人的には、以下の論点について学びが多かったです。
具体的な方法まで説明されており、実践できる点がとても良いです。
著者が紹介する11ジャンルの教養書
著者曰く、読書ではゴミのようなインプットを繰り返しても意味はなく、いかにゴミを峻別するか、これが結構難しいとのことでした。
まずは、ハズレの少ない名著・古典と言われているものを選ぶと良いようです。
本書には、著者の書籍ガイドが掲載されていますが、推薦されている本を目的なく片っ端から読んでも意味はありません。
本書においても読書をする文脈の大切さについて言及されています。11のジャンルにおいて、どのような書籍を読むべきか、そのとっかかりとして参考とするには有益だと思います。
以下、紹介されている11ジャンル99冊について、アマゾンで全てチェックしてみました。ご参考ください。
歴史
- 歴史とは何か E.H.カー (著)
- 図説 世界の歴史 J.M. ロバーツ
- 歴史家の自画像 阿部謹也(著)
- 銃・病原菌・鉄 ジャレド・ダイアモンド(著)
- 〈普及版〉地中海 フェルナン・ブローデル (著)
- 新装版 大英帝国衰亡史 中西輝政(著)
- エーゲ 永遠回帰の海 立花隆(著)
- 中世の秋 ホイジンガ(著)
- サピエンス全史 ユヴァル・ノア・ハラリ (著)
経済学
- マンキュー経済学I ミクロ編 N・グレゴリー・マンキュー(著)
- マンキュー経済学II マクロ編 N・グレゴリー・マンキュー(著)
- 日本人のための経済原論 小室直樹(著)
- エンデの遺言 根源からお金を問うこと 河邑厚徳(著),グループ現代(著)
- 経済学の考え方 (岩波新書) 宇沢弘文(著)
- 共産党宣言 マルクス (著), エンゲルス (著)
- プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 マックス ヴェーバー (著)
- 経済学大図鑑 三省堂大図鑑 ナイアル・キシテイニー (著)
- 貧困と飢饉 アマルティア・セン (著)
哲学
- 世界十五大哲学 大井 正 (著), 寺沢 恒信 (著)
- 寝ながら学べる構造主義 内田樹(著)
- 哲学大図鑑 ウィル・バッキンガム (著)
- 竹田教授の哲学講義21講 竹田 青嗣 (著)
- 新訳 弓と禅 オイゲン・ヘリゲル (著)
- バカの壁 養老孟司(著)
- 史上最強の哲学入門 飲茶(著)
- 理性の限界 高橋昌一郎(著)
- 自由からの逃走 エーリッヒ・フロム(著)
経営学
- 競争優位の戦略 M.E.ポーター(著)
- 企業戦略論 ジェイ・B・バーニー (著)
- コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント Philip Kotler他 (著)
- イノベーションの普及 エベレット・ロジャーズ (著)
- イノベーションのジレンマ クレイトン・クリステンセン(著)
- コーポレート・ファイナンス リチャード・A・ブリーリー他 (著)
- 戦略の経済学 デイビッド ベサンコ (著)
- 【新版】組織行動のマネジメント スティーブン P.ロビンス(著)
- キャズム ジェフリー・ムーア(著)
心理学
- 心理学大図鑑 キャサリン・コーリン(著)
- 現代心理学 P.G.ジンバルドー (著)
- ファスト&スロー ダニエル・カーネマン(著)
- 影響力の武器[第三版] ロバート・B・チャルディーニ (著)
- フロー体験 喜びの現象学 M. チクセントミハイ(著)
- 社会心理学講義 小坂井敏晶(著)
- セラピスト 最相葉月(著)
- 昔話の深層 河合隼雄(著)
- ポジティブ心理学の挑戦 マーティン・セリグマン(著)
音楽
- 音楽の基礎 芥川也寸志(著)
- 小澤征爾さんと、音楽について話をする 小澤征爾(著),村上春樹(著)
- 東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編 菊地成孔(著), 大谷能生(著)
- 音楽 小澤 征爾 (著), 武満 徹 (著)
- 音楽機械論 吉本隆明(著),坂本龍一(著)
- 西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 岡田暁生(著)
- 阿久悠神話解体―歌謡曲の日本語 見崎鉄(著)
- 谷川俊太郎が聞く、武満徹の素顔 谷川俊太郎(著)
- マイルス・デイビス自叙伝 マイルス デイビス(著)
脳科学
- 進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 池谷裕二(著)
- 最新脳科学で読み解く 脳のしくみ サンドラ・アーモット(著)
- 脳科学の教科書 こころ編 理化学研究所脳科学総合研究センター(編集)
- 脳科学の教科書 神経編 理化学研究所脳科学総合研究センター(編集)
- 〈わたし〉は脳に操られているのか エリエザー・スタンバーグ(著)
- EQ こころの知能指数 ダニエル・ゴールマン(著)
- 〈わたし〉はどこにあるのか: ガザニガ脳科学講義 マイケル・S. ガザニガ(著)
- デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳 アントニオ・R・ダマシオ (著)
- 脳科学は人格を変えられるか? エレーヌ フォックス(著)
文学
- 高慢と偏見 ジェーン オースティン(著)
- 嵐が丘 エミリー・ブロンテ(著)
- 罪と罰 ドストエフスキー(著)
- 変身 フランツ・カフカ(著)
- ボヴァリー夫人 G.フローベール(著)
- 人形の家 イプセン(著)
- 一九八四年〔新訳版〕 ジョージ オーウェル(著)
- 楽園への道 マリオ バルガス=リョサ(著)
詩
- 地獄の季節 ランボオ(著)
- 詩のこころを読む 茨木のり子(著)
- 詩ってなんだろう 谷川俊太郎(著)
- 繰り返し読みたい日本の名詩 彩図社文芸部(著)
- 中原中也詩集 中原中也(著)
- みだれ髪 与謝野晶子(著)
- ヘッセ詩集 ヘッセ(著)
- 新唐詩選 吉川幸次郎他(著)
- 世界の名詩を読みかえす 飯吉 光夫 (翻訳)
宗教
- 新約聖書 新共同訳
- 日本人のための宗教原論 小室直樹(著)
- キリスト教神学入門 アリスター・E. マクグラス (著)
- イエスという男 田川建三(著)
- カルト教団太陽寺院事件 辻由美(著)
- ヨブへの答え C.G.ユング(著)
- 約束された場所で 村上春樹(著)
- 善悪の彼岸へ 宮内勝典(著)
- イエスの生涯 遠藤周作(著)
自然科学
まとめ
私は、自分の独学が特定のジャンルに偏っていることを認識するとともに、他のジャンルでも気になる書籍を多く見つけることができました。
ビジネススキルの向上を目的として自己研鑽に励まれている方にとって、参考になれば幸いです。
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